ペットの腸の中に寄生する寄生虫は何種類も居ますが、今回は同じ子から3種類検出された例です。
保護した迷い猫からウジ虫の様なものが出てるとのことで来院されました。
左の矢印の大きい方は猫回虫の卵です。
成虫は3-12cmで細長いミミズの様な感じです。
この卵を飲む(舐めたり、食べたり)、感染している猫の母乳から、またはネズミ、ミミズ、ゴキブリなどの待機宿主を食べると感染します。
ちなみに人間に入ると(キスしたり、動物を触った手で触った食べ物を食べたりすること)トキソカラ症という病気を起こします。
右にも丸いものがありますね。
ウリザネ条虫(猫条虫かも?)です。これがウジ虫のようなものの卵です。
米粒(ウジのようなもの)がつながったような形をしていて長さは80cmになることもあるそうです。
ノミから感染します。
この卵をノミ(中間宿主)の幼虫が食べて、ノミの成虫になって猫(犬も)に寄生して猫が毛づくろいなどでノミを食べて感染します。
ちなみにノミを食べる(口に入ってしまう)とヒトにも寄生することがあります。
猫条虫ならば成虫は節のあるのうどんの様な感じです。
15-60cmになります。ネズミを食べると感染します。
猫条虫だとウジ虫のようなものではないのでウリザネ条虫卵だと思います。
更に検査をしていたら、
マンソン裂頭条虫の卵もありました。
成虫は長い250cmに達すこともあるきしめんのようなサナダムシです。
主に、カエルや蛇、鳥などを食べると感染します。
このマンソン裂頭条虫は犬にも寄生します。
ヒトも上記の動物をゲテモノ食いとして生食や、生焼けの物を食べたたりするとマンソン孤虫症という病気を引き起こします。
この卵を食べても寄生されません。この卵をケンミジンコ(第一中間宿主)が食べて、ケンミジンコをオタマジャクシなどが食べて、カエル(第二中間宿主)(もしくはカエルを食べた動物[待機宿主])を食べるとやっと感染します。
駆虫薬で駆虫できるのですが、マンソン裂頭条虫は駆虫薬を多く必要とするので、注射にしろ、飲ませるにしろ、ちょっと手間とお金がかかります。
寄生虫は定期的な駆虫薬の投与で感染率を下げることが出来ます。
ペットの定期駆虫とヒトは手洗いが重要となります。