ここ3週間位でマンソン裂頭条虫の症例が4匹来院されています。
すべて猫なのですが、放し飼いや拾った猫達です。
犬も寄生されますが、カエルを食べる環境がないと寄生されないので来院は圧倒的に猫が多いです。
この寄生虫の虫卵(以下の写真)をケンミジンコが食べて、それをカエルが食べて、そのカエルまたはカエルを食べた蛇などの他の動物を食べるとお腹の中できしめん状の長いサナダムシになります。
症状としては下痢、嘔吐、や体重減少などがあります。
駆虫薬はプラジクアンテルという薬が必要になり、市販はされていません。
猫では他にウリザネ条虫、猫条虫というサナダムシがいますが、その駆虫の6倍を必要とします。
犬猫の用の内服薬は必要以上に大きく、飲ませる量も多いので大変です。
人間用の薬を分割して飲ませることもあります。
殆どの場合は注射で駆虫することが多いのですが、注射液も粘性の高い液体なので太い針じゃないと注射できません。
また、子猫や体重の小さい個体では1回の投薬では落ちないことも多々見受けられます。
検便を繰り返して駆虫を繰り返す必要があります。
結論としては完全室内飼育にしていただければ、寄生する可能性を著しく下げることができますので完全室内飼育をしましょう。
人間にも寄生するのですが、猫や犬から排泄される虫卵から寄生することはありません。
カエルや蛇、またはそれらを食べる鳥や豚など等から寄生されることがあり、人間に寄生すると病名が「マンソン孤虫症」となります。犬猫とは症状が全く違うので興味のある方は検索してみてください。
マンソン裂頭条虫の標本です。
投薬瓶に入れているので不鮮明ですが、ボーダーのような線が入っていて幅広のきしめんのような形をしています。
上記の虫の横線の節の一つ一つにオスメスの生殖器があり写真の様なラグビーボール状の卵が詰まっています。
2022/11/19追記
去勢手術の時に肛門から見えたので引っ張ったらこの長さでした。
50cm超の長さでした。